熱中症予防 熱中症予防

熱中症を知ろう

Q

熱中症とは?

A

ヒトは、 体温を一定に保つために皮膚の血液の流れや汗をかいたりする機能を発達させています。 しかし、 そのために体内の塩分や水分の減少や血液の流れが滞る場合があります。 そうなると、 体温が過剰に上昇し重要な臓器が高温にさらされ、 様々な症状がでます。 その状態を熱中症と言います。死に至る可能性のある状態なので、 早期にみつけ、 対応してください。

熱中症とは? 熱中症とは?

Q

熱中症の症状は?

A

熱中症は総称で「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4つがあります

熱失神

皮膚血管の拡張によって血圧が低下し、 脳への血流が低下することにより起こります。

チェックすべき症状

□めまい □顔面蒼白
□脈が速く弱い など

熱けいれん

大量に汗をかき水だけを補給して血液中の塩分 (ナトリウム) 濃度が低下した時に起こります。 足、腕、 腹部の筋肉のけいれんで痛みを伴うこともあります。

チェックすべき症状

□筋肉痛 □手足がつる
□筋肉がけいれんする など

熱疲労

大量に汗をかいて水分の補給が追いつかず、 体が脱水状態になることで生じます。

チェックすべき症状

□全身倦怠感 □嘔吐 ・ 吐き気
□頭痛 □集中力低下 など

熱射病

過剰な体温上昇により脳や神経に異常が発生した状 態です。

チェックすべき症状

□言動がおかしい □反応が悪い
□意識がない □発汗停止 など

Q

熱中症が生じた場合の対応は?

A

症状によって対応が違います

「熱失神」、 「熱けいれん」 (重症度I度 ; 意識障がいを認めない) では現場での対応になります。 日陰の涼しい所へ移動し、 安静を取り、 水分 ・ 塩分補給を行います。 「熱疲労」 (重症度II度 : 病院搬送を必要とする中等症) では救急を要請します。 救急車を待つ間は涼しい場所で服をゆるめ、 うちわなどであおぐなど体の外から冷やします。 「熱射病」 (重症度III度 : 集中治療の必要がある重症) の状態では、 ためらわずに救急を要請します。

Q

障がい別に暑熱対策で心がけることは何ですか?

A

障がいごとで以下の対応があります

頚髄損傷
脊髄損傷
頚髄損傷者は、 交感神経障がいのため体温が上昇しても汗をかけません。 環境温に依存して容易に深部体温が変化します。 頚髄損傷者で頭部に発汗がある場合は自律神経過反射が生じている可能性があります。 血圧をチェックし、 冷房のかかった部屋に長く留まると反対に体温が落ちるため気をつけましょう。 脊髄損傷者は障がいレベルに応じて発汗が生じます。 泌尿器系の薬剤の中に発汗を抑える作用があるものが含まれますので注意しましょう。
脳性麻痺
脳性麻痺者は、 発汗や皮膚血流による熱放散の仕組みは健常者と変わりませんが、 不随意運動や痙性があるために、 健常者と比較すると安静時代謝が高くなります。 炎天下での長時間の競技や練習では深部体温上昇を増悪させます。 現場では強度が高くかつ長時間のトレーニングを行うことは推奨できません。 夏季にはこまめな水分補給を行いながら、 練習は時間を区切りながら行うことが必要です。
切断
下肢切断者では走っている時のエネルギー効率が悪くなるため、 仮に健常者と同じ練習をしても余計に熱産生が増えます。 さらに切断者では体表面積が減少し (片側大腿 ・ 下腿切断でそれぞれ 20%、 10% 減少 )、 熱が体から逃げにくくなります。 そのため、 他の障がいのある選手に比べるとより汗をかいてしまいます。 脱水に陥りやすいため十分な水分補給をしてください。
知的障がい
皮膚血流を増やし、 汗をかく能力は、 健常者と同じです。 しかし、 気温や湿度に応じて服を脱いだり着たり、 水分を補給したり、 練習の量やペースを変えるようなことを自身で調節できない場合がありますので、 注意してください。
視覚障がい
自律性体温調節反応は、 障がいのない者と同等と認識されます。 時に皮膚の色素が欠損しているタイプの選手では、 日焼けにより汗を作る汗腺が障害される、 という報告がありますので、 注意してください。

競技別の熱中症対策 1

Q

屋外競技における熱中症対策は?

アーチェリー、陸上競技、自転車競技(ロード)、5人制サッカー、車いすテニス、馬術

アーチェリー

アーチェリー

A
障がいに応じて補助用具の使用、 アシスタントの補助、 車いす、 口で弦を引くなど、 それぞれに工夫しながら、 個性あふれるスタイルで矢を放ちます。 長時間屋外で行う競技なので、 競技中に直射日光や地面からの輻射熱による熱中症のリスクが高いと思われます。 日陰で待機したり、 帽子を着用したり、 氷を用いて体を冷やしたりし、 さらにはこまめな水分補給を行うなどの対策が必 要です。

陸上競技

陸上競技

A
トラック (短距離~ 5000m、 マラソン) 競技とフィールド競技があります。 視覚障がい、 知的障がい、 脳性麻痺、 切断や脊髄損傷などの肢体不自由の各障 がいクラスで競います。 高温・多湿の他に、 日光や照り返し、 地面温上昇 (タータン表面温 = 芝生表面温 +5°C) による輻射熱が体内への熱移動を増加させ、 輻射面積が広く、 地面からの距離が近いほど影響が大きくなります。 長時間の競技 (フィールド競技)、 長時間の練習やアップ、 中 ・ 長距離選手の運動による産熱量増加が熱中症のリスクを高めます。 帽子着用、 送風や手冷水浴を行います。 競技当日までに脱水に陥らないように普段から体調管理や食事 ・ 水分摂取に気をつけます。

5 人制サッカー

5 人制サッカー

A
ゴールキーパー 1 人は晴眼者かまたは弱視者、 4 人のフィールドプレーヤーは 全盲で、アイマスクを装着します。 フットサルと同じ大きさ(40 × 20m) のピッチの両サイドには高さ約 1m をフェンスを並べ、 サイドラインからボールが外に出るのを防ぎます。 「シャカシャカ」 というボールの音と仲間の声に感覚を研ぎ澄ませてプレーします。 試合は前後半 20 分ハーフ。 屋外の人工芝の競技場で行うため、 直射日光や人工芝からの輻射熱が選手の体力を奪います。 適切な水分補給も必要です。 ハーフタイムには体内外からの冷却が有効です。

車いすテニス

車いすテニス

A
車いすテニスでは 2 バウンドでの返球が認められています。 脊髄損傷者や切断者など主に下肢障がい選手です。 屋外で行い、 巧みなチェアワークが求められます。 競技時間は 2 〜 3 時間にも及ぶこともあります。 直射日光、 コートのサーフェースからの照り返し、 サーフェース表面も高温となっています。 車いすでは、 さらにサーフェースから距離も近いので、 夏場にはとても過酷な競技 の一つです。 適切な水分補給により脱水量を最低限に抑え、 セット間などで可能な体外冷却 (うちわ、 氷嚢など) や冷水 ・ アイススラリーなどの摂取で過剰な深部体温上昇を防ぎます。

馬術

馬術

A
基本的には屋外で競技が行われ、 ウォーミングアップに約 1 時間、 競技に約 10 分、 屋外での運動となります。 屋外ゆえ、 直射日光による脱水や正装での演技のため発汗が多い点、 そして馬の体温は人間より1°C程度高いため運動中の体温が上昇しやすい状況となります。 夏場は気温が上がる日中の試合実施を避けると共に、 選手には十分な水分補給を促してください。 また厩舎内 での待機や作業が多いため、 厩舎では扇風機等を設置し、 放熱がしやすい環 境を整えることも必要です。

Q

屋内外の水上 ・ 水中の競技における熱中症対策は?

カヌー、ボート、トライアスロン、水泳

カヌー

カヌー

A
1 艇に 1 人が乗り、 200m のスプリントで競います。 種目はカヤックとヴァーがあります。 屋外競技のため、 レース前後で直射日光を避けるなどの環境対 策が重要です。 また、 梅雨明けや夏季の場合、 暑さに慣れていない時期や猛暑日では特に注意が必要です。 脊髄損傷、 二分脊椎、 下肢切断など 「体幹と下肢の機能障がい」 により 3 つのクラスに分けられます。 障がいやクラスにより熱中症のリスクは異なるため、 個別的な対策も必要となります。

ボート

ボート

A
1 艇に 1 人から 5 人が乗り、 オール (櫂) で 2000m を漕いで先着順に順位 が決定します。 水上で行うため、 地上で行う競技に比べると輻射熱が比較的少ないですが、 遮蔽物のない水上のため直射日光による熱中症のリスクがあります。 競技中は帽子 ・ サングラスなどの着用や艇の上での水分補給、 競技以外の待機時間を日陰で過ごすなどの対策が必要です。

トライアスロン

トライアスロン

A
スイム0.75km、 バイク20km、 ラン5kmを連続して行い、 総距離 25.75kmの合計タイムで競います。 2 回のトランジションもタイムに含まれ ます。 障がいクラスはシッティング、 スタンディング、 ブラインドに分かれます。 脊髄損傷、 脳性麻痺、 切断、 視覚障がいが対象となり、 競技時間は 1 ~ 2 時 間程度です。 その日の気象条件に合わせた対応が必要となります。 レース中の体液損失を予測し、 適切な水分補給をし、 プレクーリングも考慮します。 フィニッシュ後にはウォーターバス ・ アイスバス (水 ・ 氷風呂) に入り、 上昇した体温を回復させることも必要です。

水泳

水泳

A
肢体不自由、 視覚障がい、 知的障がいなどの選手が参加しています。 水温は 27±0.5°C (WPS規則:25〜28°C)で行うことが多いです。水温が1 度上昇すれば、 それだけ体外へ熱を逃がしにくくなります。 水中でも発汗が 生じます。 適宜、 水分補給を行うことが重要です。 プールサイドも湿度が高く27°Cを超えると熱中症が起きやすくなります。 知的障がいの選手の中には、 練習中につらくても自己表現が上手くできずに泳ぎ続けてしまう選手もいることがあり、 注意が必要です。

競技別の熱中症対策 2

Q

屋内競技における熱中症対策は?

射撃、ゴールボール、シッティングバレーボール、バドミントン、卓球、自転車競技(トラック)、 ボッチャ、車いすフェンシング、車いすラグビー、水泳、車いすバスケットボール

射撃

射撃

A
ライフルもしくはピストルを使って弾を撃ち、 標的に当てた合計得点を競います。 屋内、 または半屋内で競技します。 動き回ることなく、 定位置で競技を行 いますが、 長時間集中した状態で競技を行う上、 特にライフル選手が着用するジャケットは熱がこもりやすいため、 十分な水分補給や休憩が必要です。 待機時間は空調の効いた場所で待機するなどの対策が必要です。

ゴールボール

ゴールボール

A
視覚障がい者を対象にしたチーム球技で 3 人制です。 全員がアイマスクを装着します。 12 分ハーフで鈴の入ったボールを転がし、 相手のゴールに入れて得点を競います。 屋内で行いますが、 頭部 ・ 手部を除く全身をユニフォームで覆うため、 着衣内の温湿度上昇は熱中症のリスクを高めます。 試合中のタイムの時にもこまめに水分補給をし、 また同日に複数の試合がある場合には、 試合間での適切な栄養 ・ 水分補給をし、 心身共に回復させることも必要です。

シッティングバレーボール

シッティング
バレーボール

A
肢体不自由者が行います。 お尻 (臀部) を床につけた状態で競技するバレーボールで 6 人制です。 体育館内でお尻を床に付けたまま、 腕の力などでお尻を滑らせるようにしてコート内を移動させます。 肢体不自由の原因となっている切断肢 ・ 短縮肢では熱を放散できる表面積が小さくなるため、 関節拘縮肢では筋固縮による血流障がいのため、 それぞれ熱放散が阻害され、 体温が上昇しやすく熱中症のリスクを高めます。

バドミントン

バドミントン

A
東京大会より正式競技になりました。 障がいクラスは、 車いすが2クラス、 立位が4クラスに分かれています。 国際大会では、 室温が調節されていますが、 空調設備がない会場では、 風を入れないために夏場でもドアや窓を閉め切って行います。 高温多湿状況になる場合には、 ゲーム間の休息時にうちわであおぐなどの体外冷却、 適切な給水、 可能なら飲料摂取によるプレクーリングを行い、 深部体温を少しでも下げることも考慮します。

卓球

卓球

A
肢体不自由者、 知的障がい者が行います。 競技の特質上、 窓を閉め切った室内での競技になりますが、 会場によってはクーラーのない会場や室温にムラのある会場もあります。 試合中は短時間で激しく動く上、 試合時間が1時間以上長引くこともあるため、 こまめな水分補給、 ベンチコーチのうちわなどを用いての送風、 ゲーム中の 6 点ごとに許可されているタオルによる汗拭き等が対策となります。 試合時間以外で、 なるべく涼しいところに移動して、 クーリングを行う必要がありますが、 基本的な体調管理をしっかり行っておく必要があります。

自転車競技 (トラック)

自転車競技
(トラック)

A
通常の自転車を使用する四肢障がい選手 (切断 ・ 機能障がい) とタンデム自転車に健常者と乗る視覚障がい選手が参加する種目があります。 トラックレースは 1 周 250 mの楕円形木製走路の屋内競技場で行われ、 ブレーキのない自転車で走行タイムを測定します。 最高時速は 60km/h に達することもあります。 競技終了直後に脱水や体温上昇をきたすことがあり、 水分補給や冷水 ・ 氷での冷却を必要とすることがあります。

ボッチャ

ボッチャ

A
ジャックボール (目標球) と呼ばれる白いボールめがけて、 赤 ・ 青それぞれ 6 球ずつボールを投げ合って得点を競う競技です。 基本的に屋内で車いすに座って競技を行います。 屋内競技のため直射日光を受けることはありませんが、 重度の脳性麻痺など四肢に障がいがあり、 体温調節機能の低下している選手が多く、 長時間集中して競技を行うため、 水分補給などの対策が必要です。

車いすフェンシング

車いすフェンシング

A
車いすを固定した状態で上半身の動きだけで競技を行います。 座位バランスがとれるクラスと座位バランスがとれないまたは上肢障がいクラスの 2 カテゴリーに分けられます。 全身に防具を着用するため、 防具内が高温多湿環境となります。 同日に複数回の試合を行うときには、 試合での体液損失に応じた水分補給と冷水 ・ 氷や、 アイススラリーなどの摂取で、 体内からの冷却を考慮します。 霧吹きに冷水を入れて、 これをフェンシングマスクの上からふきかけることもあります。

車いすラグビー

車いすラグビー

A
車いすラグビーは頚髄損傷の選手を中心とした重度障がい者のスポーツです。 頚髄損傷者は麻痺部分の発汗が減るために体内に熱がこもりやすくなります (うつ熱)。 クーラーが効いた体育館でプレーするのはもちろんのこと、 プレーの合間に霧吹きや送風機、 アイスバッグを用いて体外から冷却したり、 冷たい飲み物を摂取して体内から冷却したりすることで過剰な深部体温の上昇を防ぎます。

水泳

水泳

A
肢体不自由、 視覚障がい、 知的障がいなどの選手が参加しています。 水温は 27±0.5°C (WPS規則:25〜28°C)で行うことが多いです。水温が1 度上昇すれば、 それだけ体外へ熱を逃がしにくくなります。 水中でも発汗が生じます。 適宜、 水分補給を行うことが重要です。 プールサイドも湿度が高く 27°Cを超えると熱中症が起きやすくなります。 知的障がいの選手の中には、 練習中につらくても自己表現が上手くできずに泳ぎ続けてしまう選手もいることがあり、 注意が必要です。

車いすバスケットボール

車いすバスケットボール

A
脊髄損傷や下肢切断 ・ 欠損などの障がいの選手がプレーを行います。 コートの大きさやゴールの高さ、 試合時間など基本的なルールは一般のバスケットボールとほぼ同じですが、 選手には障がいの程度に応じて、 重い方から 0.5点刻みで 1.0 点から 4.5 点の持ち点がつけられ、 コート内の 5 名の合計は14.0 点以内で編成されます。 重度の脊髄損傷では自律神経障がいに伴う体温調節障がいがあり、 下肢切断 ・ 欠損では発汗を行う皮膚表面積の減少から、 体温上昇を生じることがあります。 競技は屋内で行われますが、 コートの温度管理、 選手の体温管理に加え、 ピリオド間を含め水分補給が必要です。

Q

体重による階級がある競技の熱中症対策は?

柔道、テコンドー、パワーリフティング

柔道

柔道

A
視覚障がい者の競技として行われます。 相手の襟と袖をつかんだ状態から試合が始まります。 試合時間は 4 分で、 体重別に男子 7 階級、 女子 6 階級があ ります。 試合時間は 4 分ですが、 勝負がつかなかった場合は時間無制限で勝敗を決する延長戦 (ゴールデンスコア) となります。 体重別で争う競技ですので、 減量に失敗した選手は熱中症のリスクが高まります。 水分補給を含めた日頃の体重管理も重要なコンディショニングになります。

テコンドー

テコンドー

A
蹴り技を特徴とする格闘技で、 東京パラリンピックで初めて正式競技になりました。 主に上肢障がい選手のクラスの合同級で、 体重別の 3 階級で行います。 屋内で行いますが、 減量が必要な場合には脱水症に陥るリスクがあります。 胴着の着用があり、 プロテクターやグローブも着用しますので、 熱放散も限定的になります。

パワーリフティング

シパワーリフティング

A
下肢障がい選手のベンチプレス競技です。 男女それぞれ体重別に 10 階級に分かれて競います。 障がい別のクラス分けはありません。 屋内競技であるため、 換気、 室温、 湿度を管理して行いますが、 トレーニング、 試技では短時間に集中力とパワーを爆発させるため、 熱中症の予防も重要となります。 脊髄損傷選手も多く、 特に脱水予防に注意します。

東京と熱中症

Q

東京の夏はどのくらい暑いのですか?

A

2020 年 8 月は 35°C以上の猛暑日が 11 日もありました

東京の緯度はラスベガスやモロッコとほぼ同じで、 熱帯とも言えるほどの暑さになります。 2020 年 8 月には 35°C以上の猛暑日が 11 日を記録して観測史上最多の記録を更新しました。 さらに高い湿度も熱中症のリスクを高めます。 今年も同様の厳しい暑さになる可能性がありますので、 過去の気象データをチェックしながら熱中症対策を万全にして競技に臨んでください。

Q

東京で熱中症により救急搬送される人は増えていますか?

A

増えています

消防庁の報告によれば、 2019 年 7~9 月に、 熱中症で救急搬送された人数は、 10 年前の約 1.5 倍 に増えています。

Q

屋内でも熱中症は起こりますか?

A

屋内外に関係なく発生するので油断大敵です

体温調節機能や感覚機能が弱った高齢者では、 屋内における発生が多いことが報告されています。 コロナ感染症が拡大して自粛要請が出た 2020 年の夏は、 屋内で熱中症を起こして救急搬送される人が さらに増加しました。 つまり、 屋外だけでなく室内でも熱中症は発生するのです。 汗をかけないなど、 体温調節能に障がいがある方は気をつけましょう。

Q

屋内でも熱中症は起こりますか?

A

屋内外に関係なく発生するので油断大敵です

体温調節機能や感覚機能が弱った高齢者では、 屋内における発生が多いことが報告されています。 コロナ感染症が拡大して自粛要請が出た 2020 年の夏は、 屋内で熱中症を起こして救急搬送される人が さらに増加しました。 つまり、 屋外だけでなく室内でも熱中症は発生するのです。 汗をかけないなど、 体温調節能に障がいがある方は気をつけましょう。

景色

Q

熱中症が発生しやすい気象状況や時間帯は?

A

真夏、 急な暑さ、 正午前後、 高湿度、 風が弱いなど

7 〜 8 月の真夏、 気温 30°C以上の真夏日になると熱中症患者が増え始め、 気温 35°C以上になるとさらに増加します。 6 月の梅雨の晴れ間や梅雨明け前後も熱中症が増加します。 梅雨明け後に、 急に暑くなるような日は注意です。下記のような条件も熱中症に注意が必要です。 気温が高い日、 湿度が高い 日、 風が弱い日、 日差しが強い日、 熱帯夜の翌日、 照り返しが強い場所、 熱いものがそばにある場所、 など。 熱中症が発生しやすい時間帯は 11 時~ 13 時頃です。

Q

「暑さ指数 (WBGT : 湿球黒球温度) 」 は 役に立ちますか?

A

熱中症の発生リスクを知るために便利な指数です

「暑さ指数(WBGT)」は、熱中症の原因となる気温・湿度 ・ 輻射 (放射) 熱 ・ 気流を総合的に考慮した熱中症の発生リスクを知るために便利な指数です。℃で示しますが、温度とは異なります。熱中症に対してWBGTが 「25℃以上で警戒 」、「28℃以上で厳重警戒」、 「31℃以上で危険」 という指針があります。WBGTを用いた運動時の熱中症予防の目安の数値は、 日本スポーツ協会 (旧 日本体育協会) や環境省が示しており、 「21℃以上で積極的に水分補給」、「25℃以上で積極的に警戒」、 「28℃以上で激しい運動や持久走などは中止」、 「31℃以上で特別の場合以外は運動を中止」 です。

パラスポーツと熱中症

Q

障がい者は熱中症になりやすい??

A

障がいや受傷原因によります。 汗を かきにくい、 暑さやのどの渇きを感じにくい、 トイレに行きにくい、 痙性が強いなど熱中症リスクが高いので注意が必要です

障がい者の中には、 汗をかきにくい、 暑さを感じにくい、 トイレに行きにくい、 我慢しがち、 人に伝えにくい、 痙性が強く体温が上昇しやすいなどさまざま な要因から熱中症になりやすいものです。 大切なのは、 遠慮しない、 無理しない、 我慢しないことです。 障がい者本人もまわりの人も声をかけ合って熱中症を予防しましょう。 さらに、 選手自身は自分の体をよく理解し、 どうすれば体温を上げにくくできるかという方法を見つけるように努力してください。

Q

尿の色や量で熱中症リスクがわかるって本当?

A

本当です。 脱水かどうかを尿でもチェックしましょう

ヒトは体重の 60% が水分で、 脱水は、 体内水分の喪失が生じた状態です。 1 日の水分損失は不感蒸泄 900ml、 尿排泄 1500ml で、 身体活動時の発 汗があればその分だけ増えます。 口渇感に任せた水分補給では失った水分を完全に補えないことがあります。 食事に含まれる水分と合わせ、 その日のうちに必要量を補い、 数日かけて補正します。 脱水の評価には毎起床時の尿比重 (または色)、 体重 (排 泄後) があります。 運動前後においては着衣量をそろえて体重を測れば評価できます。

チェックすべき症状 起床時

□前日より尿の色が濃い
□前日からまたは数日間で体重2%以上の減少がある

チェックすべき症状 日中

□ 4 時間経過中に一度もトイレに行かない、 またはその量がコップ半分以下である

スポーツ実施時の熱中症対策

Q

暑さに慣れると熱中症になりにくい?

A

体が暑さに慣れることを 「暑熱順化」 と呼び、 暑熱順化によって熱中症リスクが下がります

環境省は 「やや暑い環境」 で 「ややきつい」 と感じる程度の運動 ( ウォーキングなど ) を毎日 30 分ほど続けると、 暑熱順化が約 2 週間で完成するとしています。 暑熱順化すると、 1発汗量が増え、 2汗に含まれる塩分濃度が低下し、 3皮膚血管が拡張し、 4 循環血液量も増加する、 という 4 つの効果によって熱中症リスクが低下します。 入浴でも暑熱順化できます。 体が暑さになれて、 暑さに強い体を作ることを暑熱順化と言います。

Q

下着や服の素材は吸水性のいい綿がいい?

A

ゆったりサイズで通気性が良く速乾性のポリエステルなどがおすすめ

綿 100% とポリエステル 100%の下着を着用して時速 4km で 30 分間の歩行をした時の体温の差について調べた報告があります。 室温 32°C、 相対湿度 60%で、 頭部に真夏の太陽光と同程度の光を照射 (900W/m2) すると、 深部体温上昇に差がありませんでしたが、 衣服内温度はポリエステル着用時に比べ、 綿着用時に約 1°C高値を示しました。 運動負荷や環境条件、 運動時間によっては、 深部体温にも影響が出る可能性があります。

Q

試合や練習前に水風呂などで体を冷やすと熱中症予防になる?

A

体の表面だけでなく深部体温が低くなることで予防できます

深部体温が 39.5°Cを超えると運動継続が困難になるといわれています。 運動前、 深部体温を下げておくと限界の体温まで余裕ができます。 アイスベストはアップ時に着用し、 深部体温上昇を抑える目的で使用します。 魔法瓶型水筒が使用できれば水温を 5°C前後にし、 アップ時から摂取します。 アイスス ラリーも市販されています。 練習で試し、 本番に備えるとよいでしょう。

Q

睡眠不足は熱中症リスクを高める?

A

良い眠りは熱中症予防にとってとても重要です

国内の障がいのある選手に行った調査から熱中症経験者が約 60%で、 これには寝つきの悪さが関連していた、 と言う報告があります。 普段から、 十分な睡眠を心がけることが必要です。

Q

パラスポーツの練習中に熱中症予防をする水分補給のポイントは?

A

こまめに水分補給をし、 無理に飲みすぎないように注意します。 糖電解質飲料で水分 ・ 塩分補給をします

こまめに水分補給することが熱中症を予防しますが、 無理に水を飲み過ぎ ないで、 ナトリウム、 カリウムなどの電解質と糖が バランス良く配合された糖電解質飲料を飲みましょう。

Q

冬の間に熱中症予防対策のために何かできることはある?

A

あります。 暑熱順化のための準備は冬から始まります

暑熱順化のためには、 年間を通した計画を立てることが重要です。 8 ~ 9 月の大会を目指すために は、 冬場からのトレーニングが重要です。 冬場でも、 コーチなどと相談し、 十分なトレーニング量を確保 してください。 それぞれのトレーニング直後にタンパク質を積極的に摂取してください。 循環血液量が増し、 暑さに強い体が作れます。

熱中症予防対策

パラスポーツ観戦者のための熱中症予防Q&A

スポーツを観戦する際に注意したい熱中症対策についてQ&A形式でご紹介します

Q

冬の間に熱中症予防対策のために何かできることはある?

A

あります。 暑熱順化のための準備は冬から始まります

暑熱順化のためには、 年間を通した計画を立てることが重要です。 8 ~ 9 月の大会を目指すために は、 冬場からのトレーニングが重要です。 冬場でも、 コーチなどと相談し、 十分なトレーニング量を確保 してください。 それぞれのトレーニング直後にタンパク質を積極的に摂取してください。 循環血液量が増し、 暑さに強い体が作れます。

Q

屋外でスポーツ観戦する際の注意点は?

A

日陰で風が通る場所を探して水分補給と体を冷やす工夫を

屋外でスポーツ観戦する場合は、 絶対に無理をせず、 なるべく日陰で涼しく風が通る場所で観戦しましょう。

Q

マスクをつけて観戦する際の注意点は?

A

マスクは熱中症リスクを高めるため、 不調を感じたら休息を取りましょう

暑い季節にマスクを長時間つけていると、 マスク内の相対湿度が高まり、 気道からの熱が逃げにくくなる可能性があります。 このように高温 ・ 多湿の中でマスクの長時間の着用は熱中症を起こしやすくします。 感染対策のためにマスクを着用してスポーツ観戦しなければならない時は、 熱中症のような症状が出ると同時にスポーツ観戦を中断して、 涼しい環境に移動してください。

Q

観戦する際の体調の注意点は?

A

健康状態を万全に整えてスポーツ観戦に出かけましょう

ちょっとした体調不良が熱中症をおこす原因になることも。 真夏にスポーツ観戦に行く前に以下のような体調チェックをし、 1 つでも該当すれば休みましょう。 □ひどい睡眠不足 □二日酔い、 □のどや鼻が痛い □ 37.5°C以上の熱がある □風邪をひいてしまった □いつもよりかなり血圧 ・ 心拍数が高い □腹痛や下痢がある □朝食を抜いた

観戦

Q

持病は熱中症リスクを高める?

A

糖尿病、 高血圧症、 心臓病、 慢性腎不全、 皮膚疾患、 自律神経の病気は熱中症リスクを高めます

糖尿病、 高血圧症、 心臓病、 慢性腎不全、 皮膚疾患、 自律神経の病気は熱中症リスクを高めます。 持病がある場合は、 かかりつけ医に相談しスポーツ観戦する際の熱中症対策についての心構えを聞いてください。 持病の治療薬によっても、 対処方法が異なります。

Q

スポーツ観戦する人も暑さになれたほうがいいですか?

A

無理のない範囲で暑さに慣れておきましょう

涼しいエリアから急に真夏の東京でスポーツ観戦するのは大きなストレスです。 東京の湿気の多い暑さや人の多さに慣れておくほうがいいですが、 コロナ感染症の流行中はそうもいかないため、 時間をかけて暑さになれるということよりも、 スポーツ観戦中の数時間の暑さ対策について、 対策グッズの準備をしておきましょう。

Q

スポーツ観戦時に 役立つ対策グッズは?

A

日陰になる、 風を作れる、 湿度を下げる、 水分を補給できる、 体温を下げるものを持っていこう

帽子、 日傘、 サンバイザー、 うちわ、 扇子、 ポケット 送風機、 空調服、 冷却パック、 水筒、 スポーツドリンク、 通気性のいい下着や服装などを準備しましょう。

運動直後の糖タンパク質摂取の効果の話

ヒトが運動をするときには心臓から筋肉へ大量の血液を流さなければなりません。 体温を上げすぎないためには皮膚の表面にも沢山の血液を流す必要があります。 従って、 暑熱環境での運動はより多くの血液が必要になります。 つまり、 暑さに慣れる過程では血液量増加が必 須です。 例えば、 高齢者が涼しい環境で最大体力の 60 ~ 75% の負荷の自転車運動を週 3 回行い、 各運動直 後に糖タンパク質を摂取すると、 血液量が増えると共に汗をかきやすくなります。 しかし、 糖タンパク質を摂取しなかった群では血液量も発汗反応も改善しませんでした。 高血圧症患者が同様なトレーニングをしても糖タンパク質摂取群で血液量と発汗反応が改善しました。 このように、 運動直後の糖タンパク質摂取は、 暑さに強い体を作るためのよい方法です。

*糖タンパク質とは?
「炭水化物(特にブドウ糖)とタンパク質を同時に摂取する」という意味で使用しています。ブドウ糖摂取により膵臓からインスリンが分泌されますが、このホルモンは血糖を低下させるだけでなく、血液中のアルブミンというタンパク質の合成を促進します。アルブミンが血液中に増えると浸透圧の効果で血液量が増加します。糖尿病をお持ちの方はタンパク質またはアミノ酸だけの摂取で良いです。

東京2020パラリンピック競技大会の開催が2021年8月24日から9月5日までと決まりました。毎年、東京の夏は猛暑です。そこで日本障がい者スポーツ協会は、パラアスリートとその関係者に対して、東京2020パラリンピック開催期間中の熱中症対策に関する正しい情報を提供するために、本冊子およびホームページに掲載しました。特にわかりやすく、必要な時にすぐに疑問が解決できるよう、各競技団体のチームドクターにも協力を頂き、日本障がい者スポーツ協会の医学委員会に所属する医師たちが質問に答えるQ&A形式でまとめました。ぜひお手元に携えたり、ホームページにお気軽にアクセスしてご活用ください。

日本障がい者スポーツ協会 医学委員会一同