Q
A
ヒトは、 体温を一定に保つために皮膚の血液の流れや汗をかいたりする機能を発達させています。 しかし、 そのために体内の塩分や水分の減少や血液の流れが滞る場合があります。 そうなると、 体温が過剰に上昇し重要な臓器が高温にさらされ、 様々な症状がでます。 その状態を熱中症と言います。死に至る可能性のある状態なので、 早期にみつけ、 対応してください。
Q
A
熱中症は総称で「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4つがあります
チェックすべき症状
□めまい □顔面蒼白
□脈が速く弱い など
チェックすべき症状
□筋肉痛 □手足がつる
□筋肉がけいれんする など
チェックすべき症状
□全身倦怠感 □嘔吐 ・ 吐き気
□頭痛 □集中力低下 など
チェックすべき症状
□言動がおかしい □反応が悪い
□意識がない □発汗停止 など
Q
A
症状によって対応が違います
「熱失神」、 「熱けいれん」 (重症度I度 ; 意識障がいを認めない) では現場での対応になります。 日陰の涼しい所へ移動し、 安静を取り、 水分 ・ 塩分補給を行います。 「熱疲労」 (重症度II度 : 病院搬送を必要とする中等症) では救急を要請します。 救急車を待つ間は涼しい場所で服をゆるめ、 うちわなどであおぐなど体の外から冷やします。 「熱射病」 (重症度III度 : 集中治療の必要がある重症) の状態では、 ためらわずに救急を要請します。
Q
A
障がいごとで以下の対応があります
Q
アーチェリー、陸上競技、自転車競技(ロード)、5人制サッカー、車いすテニス、馬術
アーチェリー
陸上競技
5 人制サッカー
車いすテニス
馬術
Q
カヌー、ボート、トライアスロン、水泳
カヌー
ボート
トライアスロン
水泳
Q
射撃、ゴールボール、シッティングバレーボール、バドミントン、卓球、自転車競技(トラック)、 ボッチャ、車いすフェンシング、車いすラグビー、水泳、車いすバスケットボール
射撃
ゴールボール
シッティング
バレーボール
バドミントン
卓球
自転車競技
(トラック)
ボッチャ
車いすフェンシング
車いすラグビー
水泳
車いすバスケットボール
Q
柔道、テコンドー、パワーリフティング
柔道
テコンドー
シパワーリフティング
Q
A
2020 年 8 月は 35°C以上の猛暑日が 11 日もありました
東京の緯度はラスベガスやモロッコとほぼ同じで、 熱帯とも言えるほどの暑さになります。 2020 年 8 月には 35°C以上の猛暑日が 11 日を記録して観測史上最多の記録を更新しました。 さらに高い湿度も熱中症のリスクを高めます。 今年も同様の厳しい暑さになる可能性がありますので、 過去の気象データをチェックしながら熱中症対策を万全にして競技に臨んでください。
Q
A
増えています
消防庁の報告によれば、 2019 年 7~9 月に、 熱中症で救急搬送された人数は、 10 年前の約 1.5 倍 に増えています。
Q
A
屋内外に関係なく発生するので油断大敵です
体温調節機能や感覚機能が弱った高齢者では、 屋内における発生が多いことが報告されています。 コロナ感染症が拡大して自粛要請が出た 2020 年の夏は、 屋内で熱中症を起こして救急搬送される人が さらに増加しました。 つまり、 屋外だけでなく室内でも熱中症は発生するのです。 汗をかけないなど、 体温調節能に障がいがある方は気をつけましょう。
Q
A
屋内外に関係なく発生するので油断大敵です
体温調節機能や感覚機能が弱った高齢者では、 屋内における発生が多いことが報告されています。 コロナ感染症が拡大して自粛要請が出た 2020 年の夏は、 屋内で熱中症を起こして救急搬送される人が さらに増加しました。 つまり、 屋外だけでなく室内でも熱中症は発生するのです。 汗をかけないなど、 体温調節能に障がいがある方は気をつけましょう。
Q
A
真夏、 急な暑さ、 正午前後、 高湿度、 風が弱いなど
7 〜 8 月の真夏、 気温 30°C以上の真夏日になると熱中症患者が増え始め、 気温 35°C以上になるとさらに増加します。 6 月の梅雨の晴れ間や梅雨明け前後も熱中症が増加します。 梅雨明け後に、 急に暑くなるような日は注意です。下記のような条件も熱中症に注意が必要です。 気温が高い日、 湿度が高い 日、 風が弱い日、 日差しが強い日、 熱帯夜の翌日、 照り返しが強い場所、 熱いものがそばにある場所、 など。 熱中症が発生しやすい時間帯は 11 時~ 13 時頃です。
Q
A
熱中症の発生リスクを知るために便利な指数です
「暑さ指数(WBGT)」は、熱中症の原因となる気温・湿度 ・ 輻射 (放射) 熱 ・ 気流を総合的に考慮した熱中症の発生リスクを知るために便利な指数です。℃で示しますが、温度とは異なります。熱中症に対してWBGTが 「25℃以上で警戒 」、「28℃以上で厳重警戒」、 「31℃以上で危険」 という指針があります。WBGTを用いた運動時の熱中症予防の目安の数値は、 日本スポーツ協会 (旧 日本体育協会) や環境省が示しており、 「21℃以上で積極的に水分補給」、「25℃以上で積極的に警戒」、 「28℃以上で激しい運動や持久走などは中止」、 「31℃以上で特別の場合以外は運動を中止」 です。
Q
A
障がいや受傷原因によります。 汗を かきにくい、 暑さやのどの渇きを感じにくい、 トイレに行きにくい、 痙性が強いなど熱中症リスクが高いので注意が必要です
障がい者の中には、 汗をかきにくい、 暑さを感じにくい、 トイレに行きにくい、 我慢しがち、 人に伝えにくい、 痙性が強く体温が上昇しやすいなどさまざま な要因から熱中症になりやすいものです。 大切なのは、 遠慮しない、 無理しない、 我慢しないことです。 障がい者本人もまわりの人も声をかけ合って熱中症を予防しましょう。 さらに、 選手自身は自分の体をよく理解し、 どうすれば体温を上げにくくできるかという方法を見つけるように努力してください。
Q
A
本当です。 脱水かどうかを尿でもチェックしましょう
ヒトは体重の 60% が水分で、 脱水は、 体内水分の喪失が生じた状態です。 1 日の水分損失は不感蒸泄 900ml、 尿排泄 1500ml で、 身体活動時の発 汗があればその分だけ増えます。 口渇感に任せた水分補給では失った水分を完全に補えないことがあります。 食事に含まれる水分と合わせ、 その日のうちに必要量を補い、 数日かけて補正します。 脱水の評価には毎起床時の尿比重 (または色)、 体重 (排 泄後) があります。 運動前後においては着衣量をそろえて体重を測れば評価できます。
□前日より尿の色が濃い
□前日からまたは数日間で体重2%以上の減少がある
□ 4 時間経過中に一度もトイレに行かない、 またはその量がコップ半分以下である
Q
A
体が暑さに慣れることを 「暑熱順化」 と呼び、 暑熱順化によって熱中症リスクが下がります
環境省は 「やや暑い環境」 で 「ややきつい」 と感じる程度の運動 ( ウォーキングなど ) を毎日 30 分ほど続けると、 暑熱順化が約 2 週間で完成するとしています。 暑熱順化すると、 1発汗量が増え、 2汗に含まれる塩分濃度が低下し、 3皮膚血管が拡張し、 4 循環血液量も増加する、 という 4 つの効果によって熱中症リスクが低下します。 入浴でも暑熱順化できます。 体が暑さになれて、 暑さに強い体を作ることを暑熱順化と言います。
Q
A
ゆったりサイズで通気性が良く速乾性のポリエステルなどがおすすめ
綿 100% とポリエステル 100%の下着を着用して時速 4km で 30 分間の歩行をした時の体温の差について調べた報告があります。 室温 32°C、 相対湿度 60%で、 頭部に真夏の太陽光と同程度の光を照射 (900W/m2) すると、 深部体温上昇に差がありませんでしたが、 衣服内温度はポリエステル着用時に比べ、 綿着用時に約 1°C高値を示しました。 運動負荷や環境条件、 運動時間によっては、 深部体温にも影響が出る可能性があります。
Q
A
体の表面だけでなく深部体温が低くなることで予防できます
深部体温が 39.5°Cを超えると運動継続が困難になるといわれています。 運動前、 深部体温を下げておくと限界の体温まで余裕ができます。 アイスベストはアップ時に着用し、 深部体温上昇を抑える目的で使用します。 魔法瓶型水筒が使用できれば水温を 5°C前後にし、 アップ時から摂取します。 アイスス ラリーも市販されています。 練習で試し、 本番に備えるとよいでしょう。
Q
A
良い眠りは熱中症予防にとってとても重要です
国内の障がいのある選手に行った調査から熱中症経験者が約 60%で、 これには寝つきの悪さが関連していた、 と言う報告があります。 普段から、 十分な睡眠を心がけることが必要です。
Q
A
こまめに水分補給をし、 無理に飲みすぎないように注意します。 糖電解質飲料で水分 ・ 塩分補給をします
こまめに水分補給することが熱中症を予防しますが、 無理に水を飲み過ぎ ないで、 ナトリウム、 カリウムなどの電解質と糖が バランス良く配合された糖電解質飲料を飲みましょう。
Q
A
あります。 暑熱順化のための準備は冬から始まります
暑熱順化のためには、 年間を通した計画を立てることが重要です。 8 ~ 9 月の大会を目指すために は、 冬場からのトレーニングが重要です。 冬場でも、 コーチなどと相談し、 十分なトレーニング量を確保 してください。 それぞれのトレーニング直後にタンパク質を積極的に摂取してください。 循環血液量が増し、 暑さに強い体が作れます。
スポーツを観戦する際に注意したい熱中症対策についてQ&A形式でご紹介します
Q
A
あります。 暑熱順化のための準備は冬から始まります
暑熱順化のためには、 年間を通した計画を立てることが重要です。 8 ~ 9 月の大会を目指すために は、 冬場からのトレーニングが重要です。 冬場でも、 コーチなどと相談し、 十分なトレーニング量を確保 してください。 それぞれのトレーニング直後にタンパク質を積極的に摂取してください。 循環血液量が増し、 暑さに強い体が作れます。
Q
A
日陰で風が通る場所を探して水分補給と体を冷やす工夫を
屋外でスポーツ観戦する場合は、 絶対に無理をせず、 なるべく日陰で涼しく風が通る場所で観戦しましょう。
Q
A
マスクは熱中症リスクを高めるため、 不調を感じたら休息を取りましょう
暑い季節にマスクを長時間つけていると、 マスク内の相対湿度が高まり、 気道からの熱が逃げにくくなる可能性があります。 このように高温 ・ 多湿の中でマスクの長時間の着用は熱中症を起こしやすくします。 感染対策のためにマスクを着用してスポーツ観戦しなければならない時は、 熱中症のような症状が出ると同時にスポーツ観戦を中断して、 涼しい環境に移動してください。
Q
A
健康状態を万全に整えてスポーツ観戦に出かけましょう
ちょっとした体調不良が熱中症をおこす原因になることも。 真夏にスポーツ観戦に行く前に以下のような体調チェックをし、 1 つでも該当すれば休みましょう。 □ひどい睡眠不足 □二日酔い、 □のどや鼻が痛い □ 37.5°C以上の熱がある □風邪をひいてしまった □いつもよりかなり血圧 ・ 心拍数が高い □腹痛や下痢がある □朝食を抜いた
Q
A
糖尿病、 高血圧症、 心臓病、 慢性腎不全、 皮膚疾患、 自律神経の病気は熱中症リスクを高めます
糖尿病、 高血圧症、 心臓病、 慢性腎不全、 皮膚疾患、 自律神経の病気は熱中症リスクを高めます。 持病がある場合は、 かかりつけ医に相談しスポーツ観戦する際の熱中症対策についての心構えを聞いてください。 持病の治療薬によっても、 対処方法が異なります。
Q
A
無理のない範囲で暑さに慣れておきましょう
涼しいエリアから急に真夏の東京でスポーツ観戦するのは大きなストレスです。 東京の湿気の多い暑さや人の多さに慣れておくほうがいいですが、 コロナ感染症の流行中はそうもいかないため、 時間をかけて暑さになれるということよりも、 スポーツ観戦中の数時間の暑さ対策について、 対策グッズの準備をしておきましょう。
Q
A
日陰になる、 風を作れる、 湿度を下げる、 水分を補給できる、 体温を下げるものを持っていこう
帽子、 日傘、 サンバイザー、 うちわ、 扇子、 ポケット 送風機、 空調服、 冷却パック、 水筒、 スポーツドリンク、 通気性のいい下着や服装などを準備しましょう。
ヒトが運動をするときには心臓から筋肉へ大量の血液を流さなければなりません。 体温を上げすぎないためには皮膚の表面にも沢山の血液を流す必要があります。 従って、 暑熱環境での運動はより多くの血液が必要になります。 つまり、 暑さに慣れる過程では血液量増加が必 須です。 例えば、 高齢者が涼しい環境で最大体力の 60 ~ 75% の負荷の自転車運動を週 3 回行い、 各運動直 後に糖タンパク質を摂取すると、 血液量が増えると共に汗をかきやすくなります。 しかし、 糖タンパク質を摂取しなかった群では血液量も発汗反応も改善しませんでした。 高血圧症患者が同様なトレーニングをしても糖タンパク質摂取群で血液量と発汗反応が改善しました。 このように、 運動直後の糖タンパク質摂取は、 暑さに強い体を作るためのよい方法です。
*糖タンパク質とは?
「炭水化物(特にブドウ糖)とタンパク質を同時に摂取する」という意味で使用しています。ブドウ糖摂取により膵臓からインスリンが分泌されますが、このホルモンは血糖を低下させるだけでなく、血液中のアルブミンというタンパク質の合成を促進します。アルブミンが血液中に増えると浸透圧の効果で血液量が増加します。糖尿病をお持ちの方はタンパク質またはアミノ酸だけの摂取で良いです。